カスタマーハラスメント対策の措置義務は2026年10月1日に施行されます。方針や条項を整えるだけでは、施行後の実務は回りません。発生時の対応記録をどう残し、どう積み上げるか。施行後を見据えた運用の作り方をまとめました。
更新日:2026-07-23
カスタマーハラスメント対策の措置義務は、改正された労働施策総合推進法にもとづき、2026年10月1日に施行されます。施行期日は令和8年政令第17号で確定しており、大企業・中小企業を問わず、すべての事業主が対象です。
求められるのは、方針の明示、相談に応じる体制、行為があったときの対応手順、被害を受けた従業員への配慮という一連の整備です。施行日程や就業規則の規定例そのものは、別記事「カスハラ義務化2026」で条文例つきで整理しています。本記事は、その先にある「施行後に運用を続ける」部分に絞ります。
方針の文書や就業規則の条項は、一度作れば形になります。一方で、相談体制と発生時の対応は、実際に起きたときに動いて初めて意味を持ちます。そのとき動けたかどうかを示せるのは、対応の記録だけです。
記録が無いと、同じ相手から再び強い要求があったときに、前回の経緯を口頭の記憶に頼ることになります。担当が代わった瞬間に経緯は消え、対応は毎回ゼロからやり直しです。従業員を守る判断(対応の打ち切りや外部機関への連絡)も、積み上がった記録があって初めて社内で説明できます。
記録は詳細に書こうとするほど続きません。1件あたり数分で書ける項目に絞るのが現実的です。
・日時と場所(電話・来店・メールの別)
・対応した従業員と、相手の情報(氏名が分かる場合。個人情報の扱いには社内ルールを添える)
・行為の内容(発言はできるだけそのままの言葉で)
・その場の一次対応(誰に引き継いだか、どこで打ち切ったか)
・その後の対応と、従業員へのフォロー
様式は紙でも表計算でも構いませんが、保管場所を一つに決め、相談窓口の担当が必ず見られる状態にしておくことが大切です。散らばった記録は、無いのと同じ扱いになりがちです。
就業規則に対応条項を入れても、現場の従業員が条文を開いて確認しながら対応する場面は、実際にはほとんどありません。いざ発生したときに参照されるのは、条文そのものではなく「うちの会社では誰に相談して、どこまで対応するのか」という運用の記憶です。
施行に向けた準備は、条項の整備と同時に、この運用の記憶をどこに置くかまで決めて初めて完成します。担当者の頭の中だけに置くと、退職や異動で全部消えます。
番頭は、自社の就業規則や規程を登録して覚える労務AIです。カスハラの対応条項を登録しておくと、現場から「この場合はどうするか」と聞かれたときに、自社の条項と運用を前提にした整理が返ります。一般論を検索して自社に読み替える手間が要りません。
対応のたびに経緯や判断を番頭に登録しておくと、次に似た事案が起きたとき、前回の対応を踏まえた続きから相談を始められます。担当が交代しても、会社側に記録と前提が残ります。
番頭が示すのは、自社の前提を踏まえた整理と下書きの補助です。個別事案への断定的な助言や、対応の十分性の保証ではありません。重大な事案の判断は、専門家や外部機関への相談を前提にしてください。
サンプルの会社情報を覚えた状態での、回答のイメージです。数値や規程の内容は説明用の例です。 番頭の答えは一般的な情報の整理であり、個別の法的助言ではありません。
先月の電話でのカスハラ対応、どう処理したか確認したい
2026年6月の記録に残っています。長時間の抗議電話に対し、マニュアルに沿って一次対応は10分で区切り、総務の担当へ引き継ぎました。同じ相手から再度連絡があった場合は、前回の経緯を踏まえて最初から責任者が対応する、と決めた運用も登録済みです。
当社の対応条項に沿って、店頭での暴言への一次対応を整理したい
登録済みの条項では、従業員の安全確保を最優先とし、対応の記録と責任者への引き継ぎを定めています。この前提で、その場を離れてよい基準、記録に残す項目、引き継ぎ先の3点を一次対応の型として下書きします。最終的な運用は社内で確認のうえ確定してください。
改正労働施策総合推進法にもとづく措置義務が、2026年10月1日に施行されます(施行期日は令和8年政令第17号で確定)。会社の規模を問わず、すべての事業主が対象です。
記録の様式や保存を直接定める義務ではありません。ただし、相談への対応や再発防止といった求められる措置を実際に行ったことを示すうえで、対応記録が実務上の土台になります。記録の残し方は本文の項目を出発点に、自社の運用に合わせて決めてください。
完了にはなりません。番頭が担うのは、自社の条項や対応の経緯を覚えて、次の対応の整理を助ける部分です。方針の決定や重大な事案の判断は、会社と、必要に応じて専門家が行う前提です。
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