カスタマーハラスメント(カスハラ)対策の義務化とは、改正労働施策総合推進法(令和7年法律第63号)に基づき、事業主が顧客等からの著しい迷惑行為から従業員を守るための雇用管理上の措置を講じる義務(措置義務)を負うことを指します。施行は2026年10月1日で、企業規模による適用除外はありません。「具体的にどんな規定を作ればよいのか」という問いに対して、本ページでは社内規定の構成要素・対応フロー・チェックリストを実務的にお伝えします。
改正労働施策総合推進法(令和7年法律第63号)により、カスハラ対策は事業主の措置義務となりました(2026年10月1日施行)。厚生労働省の指針では、事業主に求められる措置として「①カスハラの内容・対応方針の明確化と社内周知」「②相談体制の整備」「③事後の迅速かつ適切な対応」の三点が柱として示されています。さらに遡ると、2022年2月に厚生労働省が公表した『カスタマーハラスメント対策企業マニュアル』がカスハラの定義・判断基準・対応手順の実務的な拠りどころとして広く参照されています。
中小企業が特に注意すべき点は、「専任担当者がいない」「記録が属人化しやすい」「管理職の判断にばらつきが出る」という三点です。大企業のようにコンプライアンス部門や専任の相談員を設置できなくても、社内規定と記録フォームを先に整備しておくことで、担当者が替わっても対応の品質を一定に保てます。義務化への対応は完璧な体制を一度に作ることではなく、「定義→相談体制→記録→教育」の順に段階的に整えていくことが現実的です。
カスハラ対策規定に最低限盛り込むべき要素は以下の五点です。第一に「カスハラの定義と具体例」です。厚生労働省の定義を踏まえ、「顧客等が業務上の正当な範囲を超えた要求行為や言動により、従業員の就業環境を害するもの」と明記し、暴言・長時間の拘束・SNSへの誹謗中傷・土下座の要求などを例示として列挙します。第二に「会社の対応方針」です。「会社は従業員の就業環境を守る立場からカスハラ行為者に毅然と対応する」と宣言し、対外的にも周知できる形にします。第三に「相談窓口と担当者(代替者含む)」の明示です。窓口が一名に集中すると担当者の負担が過大になるため、代替者と上席への報告ラインをあわせて規定します。第四に「対応フローと記録義務」です。初動対応・記録・報告・審議・対外対応の各ステップを明文化します。第五に「不利益取扱いの禁止」です。相談した従業員が人事上の不利益を受けないことを明記し、相談のしやすさを担保します。
規定の形式は就業規則の一部(附属規程)として作成する方法と、単独のカスハラ対応規程として作成する方法の二通りがあります。就業規則の変更が必要になる場合は、所轄労働基準監督署への届出が必要になりますので、規定のどこに位置づけるかをあらかじめ検討しておくとスムーズです。
カスハラが発生したときの対応フローは、大きく五つのステップで整理できます。ステップ1は「初動対応と従業員保護」です。担当者は対応中の従業員を一人にしない・交代要員を手配するという初動ルールを明文化しておきます。ステップ2は「記録の作成」です。日時・場所・相手方の言動・対応した従業員の氏名・自社の対応内容を所定フォームに記録します。「言った言わない」の後日トラブルを防ぐためにも、当日中の記録が原則です。ステップ3は「上席への報告」です。現場判断で完結させず、管理職への報告ラインを必ず踏みます。ステップ4は「審議と対応方針の決定」です。継続接触の可否・警告文の送付・出入禁止・法的対応の検討などをケースに応じて判断します。ステップ5は「事後フォロー」です。対応した従業員のメンタル状況確認・必要に応じたEAP(従業員支援プログラム)の案内を行います。
記録の一元管理は、後日の再発確認・傾向分析・万一の法的対応に備える上で欠かせません。紙の記録は所在が分散しやすいため、デジタルでの管理が現実的です。番頭Kabauは自社の対応フォームの構成をあらかじめ登録しておくことで、記録項目の抜け漏れチェックや対応ログの整理をサポートします。
規定を作っただけでは機能しません。従業員がカスハラを「判断できる」「報告できる」「記録できる」状態にするための教育と周知がセットで必要です。教育の内容は、カスハラの定義・具体例の提示、相談窓口と報告フローの確認、ロールプレイによる初動対応の練習、の三点を最低限含めることをお勧めします。実施頻度は年1回以上を目安に、新入社員向けには入社時研修に組み込みます。
周知の方法としては、社内イントラ・掲示板・就業規則への記載に加えて、接客現場に「当社はカスハラ行為に対して毅然と対応します」という趣旨の掲示を行う企業も増えています。この掲示自体が抑止効果を持ちながら、顧客に対して対応方針を事前に伝える機能を果たします。対外周知の文言例については後述のFAQもご参照ください。
カスハラ対応の実務では、「どの顧客からどのような行為があり、自社はどう対応し、結果どうなったか」を時系列で追える状態を維持することが重要です。案件が複数に及んだり、担当者が入れ替わったりすると、情報が断片化して適切な意思決定が難しくなります。
番頭Kabauは、自社のカスハラ対応規定・相談フォームの構成・対応履歴の記録項目をあらかじめ登録しておくことで、「このケースは以前同じ顧客から似た申告があったか」「記録に抜けている項目はないか」といった確認を迅速に行えるようサポートします。また、対応方針の検討時には「規定上はどのステップに相当するか」「過去の類似ケースの対応内容は何か」といった整理の補助が可能です。最終的な対応判断は会社・専門家が行うものであり、Kabauは情報の整理と記録の補助を担う位置づけです。
中小企業にとって、専任担当者を置かずにカスハラ対応の記録と履歴管理を継続するのは負荷が高い課題です。Kabauに自社の前提情報を登録して活用することで、担当者の交代や繁忙期にも対応品質を維持しやすくなります。
サンプルの会社情報を覚えた状態での、回答のイメージです。数値や規程の内容は説明用の例です。 就業規則AIの答えは一般的な情報の整理であり、個別の法的助言ではありません。
うちの会社でカスハラ規定を初めて作ります。就業規則への追記か、独立規程の作成か、どちらが向いていますか?従業員は20名で、小売業です。
登録いただいている情報(従業員20名・小売業)をもとに整理しますと、小売業は顧客接点が日常的に多いため、対応方針と連絡フローを現場スタッフが素早く参照できる形が優先されます。就業規則の附属規程として追記する方法は、変更届の手続きが1回で済み、規程管理の窓口も一本化できる点がメリットです。独立規程として作成する場合は、顧客向けの掲示やマニュアルと内容を合わせやすくなるメリットがあります。どちらにするかは御社の就業規則の現状の構成や、顧客向けに公開するかどうかによって判断が変わります。具体的な規程の位置づけについては、最終的に専門家にご確認いただくことをお勧めします。
カスハラの対応記録フォームに何を入力する欄が必要ですか?登録している自社の業種・従業員規模を踏まえて確認したいです。
登録いただいている情報をもとに、小売業・従業員20名の規模で実務的に必要な記録欄を整理します。最低限として「発生日時・場所」「相手方の行為の概要(言葉・行動)」「対応した従業員の氏名」「初動の対応内容」「上席への報告日時と報告先」「その後の対応方針と結果」「対応した従業員のフォロー状況」の7項目が考えられます。小売業の場合、POSレシートや防犯カメラの映像との突き合わせが後日必要になるケースもあるため、「関連記録の有無(カメラ映像・レシート等)」を追記欄として設けておくと有用です。このフォームの構成をKabauに登録しておくと、次回以降の記録作成時に項目の抜け漏れを確認するサポートが可能です。
努力義務ではありません。改正労働施策総合推進法(令和7年法律第63号)による措置義務で、2026年10月1日から施行されます。直接の刑事罰はありませんが、是正指導・勧告・企業名の公表という行政措置の対象です。加えて、措置を講じていない場合に従業員がカスハラ被害を受けて心身に不調をきたしたとき、会社の安全配慮義務違反として民事上の責任が問われる可能性があります。「罰則がないから後回し」ではなく、従業員を守る体制を整えることが、結果として会社リスクの低減につながります。
厚生労働省の『カスタマーハラスメント対策企業マニュアル』(2022年2月公表)には規定例・対応フロー・記録フォームの雛形が収録されており、無料でダウンロードできます。本ページで紹介している五つの要素(定義・対応方針・相談窓口・対応フロー・不利益取扱い禁止)をベースに、自社の業種・規模・顧客接点の特性に合わせて文言を調整することをお勧めします。なお、本ページで提供している情報は一般的な制度の解説であり、個別の規程作成の代行や法的助言を行うものではありません。自社の就業規則への反映や規程の適法性については、最終的に専門家にご確認ください。
Kabauは「この行為がカスハラに該当するか否か」「この顧客に出入禁止を告知して問題ないか」といった個別の法的判断を行う機能ではありません。Kabauが担うのは、自社に登録された規定・対応フロー・記録フォームの構成を踏まえた情報整理と、記録項目の確認補助です。個別ケースの対応方針の最終判断は、会社として決定し、必要に応じて専門家に相談しながら進めていただく前提で、その準備段階の整理をサポートします。
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