週20時間勤務の従業員を雇用する際、月間の労働時間がいくらになるのか、給与や社会保険の判定にどう影響するのか、この記事で順番に整理していきます。
週20時間という契約があるとき、月間の労働時間は「週20時間 × 月の週数」で求めます。1年間の総週数は52週ですので、月平均に直すと 52÷12=約4.33週となり、月平均労働時間は 20×4.33=約86.7時間が基準値です。この86.7時間という数字は、賃金台帳への記載や時間単価の算出、社会保険加入要件の確認など、さまざまな場面で基準として使います。
ただし実際の月はすべて同じ週数ではありません。カレンダー上で週が4回しか入らない月(28〜29日月)は 20×4=80時間、週が5回入る月(休日の配置次第では月をまたいで5週分入るケース)では 20×5=100時間になる場合があります。月ごとの実稼働日を確認し、毎月実績時間を集計することが正確な給与計算の前提です。
「月給制」で契約している場合は月の時間数が変わっても支払額が固定されるため問題になりにくいですが、「時給制」の場合はそのまま変動が給与額に反映されます。4週月と5週月では最大20時間の差が生じますので、年間の人件費を予算化するときは月平均86.7時間を使い、実際の支払いは月ごとの実績時間数で計算する、という二段構えが管理上スムーズです。
時給制の場合、時間単価はそのまま時給額ですので計算はシンプルです。一方、月給制で雇用している場合でも社会保険や割増賃金の計算のために「1時間あたり単価」を把握しておく必要があります。月給制の時間単価は「月額給与 ÷ 月平均所定労働時間」で求めます。週20時間勤務・月平均86.7時間の場合、月給18万円であれば 180,000÷86.7=約2,076円が1時間あたりの単価です。
この単価は、法定外残業(所定外の時間外労働)が発生した際の割増賃金計算の基礎になります。また、欠勤控除を行う場合も「欠勤時間×時間単価」で算出するため、契約書・賃金規程に月平均所定労働時間を明記しておくことが実務上の必須事項です。就業規則や雇用契約書に「週20時間・月平均86.7時間」と記載しておけば、後から「何時間で計算したか」という疑義を防ぐことができます。
週20時間勤務という働き方は、社会保険の加入要件と密接に絡みます。社会保険(健康保険・厚生年金)の加入判定で従来から使われてきた基準は、正社員の所定労働時間の4分の3以上です。正社員が週40時間勤務であれば、その4分の3は週30時間となります。週20時間勤務はこの基準を下回りますので、原則として通常の社会保険加入対象にはなりません。
一方、2022年10月以降の段階的な適用拡大(いわゆる「106万円の壁」に関連する短時間労働者の加入要件)により、一定規模以上の事業所では「週20時間以上、月額賃金8.8万円以上(年収換算約106万円)、2か月を超える雇用見込み、学生でない」という4条件を満たす短時間労働者も社会保険の加入対象となっています。適用事業所の規模要件は段階的に引き下げられており、2024年10月には51人以上の事業所まで拡大されています。
週20時間勤務はこの「週20時間以上」の条件をちょうど満たします。つまり、企業規模・賃金・雇用期間の条件次第で社会保険加入が必要になるケースがあります。「週20時間だから大丈夫」と判断せず、自社の従業員規模と当該従業員の月額賃金を必ず確認してください。判断に迷う場合は、最終的に専門家や年金事務所への確認を推奨します。
扶養に入っているパートタイム従業員を雇用する場合、本人の年収が一定額を超えると扶養から外れるため、労働時間の設計が重要です。所得税の控除(配偶者控除)に影響する「103万円の壁」は、年間給与収入が103万円を超えると配偶者本人に所得税が課税される水準です。社会保険の扶養(被扶養者)の目安となる「130万円の壁」は、年間収入が130万円以上になると配偶者の健康保険の被扶養者から外れる水準です。
週20時間・時給1,200円の場合、月平均86.7時間×1,200円=約104,040円となり、年収換算で約124.8万円です。この例では103万円を超え、130万円には届かない水準になります。時給や実際の稼働時間によっては130万円を超えるケースも出てきますので、採用時に「想定月額×12か月」の試算を共有し、本人が扶養の範囲内に収めたいのかどうかを確認した上で契約時間数を決めることが大切です。
なお、「106万円の壁」(前セクションの短時間労働者の社会保険加入)は事業所規模が要件を満たす場合に適用されますので、130万円の壁とは別の判定軸です。二つの壁が並立していることを押さえた上で、従業員本人・会社双方にとって無理のない労働時間設計を行ってください。
週20時間勤務の従業員が複数人いると、月ごとに週数が変わるたびに「今月は何時間か」「社会保険の加入要件を満たすか」「扶養範囲に収まっているか」を個別に確認する作業が発生します。Kabauは会社の雇用形態・所定労働時間・賃金設定をあらかじめ登録しておくことで、月間時間数の目安・時間単価・加入要件の確認に必要な情報を整理する補助ができます。
具体的には、「この人の今月の所定労働時間は何時間になるか」「月給制の場合の時間単価はいくらか」「週20時間の短時間労働者について社会保険加入の確認項目を洗い出してほしい」といった問いかけに対して、登録済みの自社情報を前提として整理した情報を返します。毎月の給与計算前の確認作業や、新しく短時間労働者を採用する際の条件整理に活用できます。
ただし、Kabauはあくまで情報の整理と補助を目的としており、社会保険加入の最終的な要否判断や個別の法的判断は、専門家または年金事務所・労働基準監督署への確認をおすすめします。整理のスピードを上げる道具として活用し、判断の最終確認を専門機関で行う、という組み合わせが実務上の安全策です。
サンプルの会社情報を覚えた状態での、回答のイメージです。数値や規程の内容は説明用の例です。 就業規則AIの答えは一般的な情報の整理であり、個別の法的助言ではありません。
うちは週20時間のパートを3人雇っています。時給1,050円なのですが、今月(4週月)の給与と、月平均の時間単価を教えてください。
ご登録の情報を確認しました。今月が4週月(80時間)の場合、1人あたりの支給額は 1,050円×80時間=84,000円が目安です。月平均(86.7時間)ベースの時間単価は 1,050円のまま変わりません。時給制のため時間単価は契約時給と一致します。5週月(100時間)になる月は 1,050円×100時間=105,000円が目安になります。月ごとの実績時間集計が正確な支払いの前提ですので、打刻データの確認もあわせてご検討ください。
週20時間・月給9万円で雇っているパートがいます。社会保険の加入が必要かどうか確認したいです。自社は従業員60人です。
登録内容を確認しました。従業員60人の事業所は2024年10月以降の適用拡大後の要件(51人以上)を満たしています。週20時間以上・月額賃金8.8万円以上の条件を確認すると、週20時間はちょうど条件を満たし、月給9万円は8.8万円を超えています。雇用期間が2か月を超える見込みで、学生でない場合は社会保険加入の対象となる可能性が高い状況です。最終的な加入要否の判断は年金事務所または専門家にご確認ください。Kabauで必要な確認項目のリストを整理することができます。
年間平均では週4.33週×20時間=月約86.7時間が基準値です。賃金台帳や時間単価の算出にはこの月平均時間数を使います。ただし実際の月は4週月(80時間)と5週月(100時間)があるため、給与の支払い計算は月ごとの実績時間数で行うことをおすすめします。
事業所の規模・月額賃金・雇用期間・学生かどうかによって判断が変わります。2024年10月以降、51人以上の事業所では「週20時間以上・月額8.8万円以上・2か月超の雇用見込み・学生でない」の4条件を満たす短時間労働者が加入対象です。週20時間はこの条件の入口を満たしますので、他の条件を必ず確認してください。この記事は一般的な情報提供であり、個別の加入要否の断定や書類作成の代行ではありません。最終的なご判断は年金事務所または専門家にご確認ください。
時給と実際の稼働時間次第で変わります。時給1,200円・月平均86.7時間の場合、年収換算で約124万円となり、103万円は超えますが130万円には届かない水準です。ただし5週月が重なると年収が変動しますし、事業所規模次第では106万円の社会保険加入要件も別途チェックが必要です。採用前に「想定月額×12か月」の試算を従業員と共有し、本人の意向を確認した上で労働時間数を設計することをおすすめします。
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