顧客からの過度な要求や暴言に、就業規則でどこまで対応できるか迷っていませんか。厚生労働省が2024年に公表した「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」を軸に、就業規則への盛り込み方と社内体制の作り方を順を追って整理します。
カスタマーハラスメント(カスハラ)は、顧客・取引先などの立場を利用した過度な要求や、従業員の尊厳を傷つける言動を指します。厚生労働省の2024年マニュアルでは、「要求の内容や態様が社会通念上相当な範囲を超え、労働者の就業環境を害するもの」と定義しています。就業規則にこの定義を明記しておくことで、現場の判断基準が統一され、従業員が「これはカスハラに当たる」と判断して上司や窓口に報告しやすくなります。
就業規則への定義の盛り込み方として、多くの企業が選ぶのは「服務規律」や「職場環境の整備」に関する条文への追加です。具体的には、①不当な要求・威圧的な言動への組織的対応、②従業員への謝罪・値引き強要など業務範囲を逸脱した要求の拒否、③社外からのハラスメントに対する会社の保護義務、という3点を条文化するケースが参考になります。ただし条文の文言は会社の業種・規模・実態に合わせる必要があり、最終的な文案は専門家に確認することをおすすめします。
厚生労働省の「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」(2024年2月)は、対策を大きく4つに整理しています。第1に「方針の明確化と周知」、第2に「体制の整備」、第3に「従業員への相談対応・支援」、第4に「発生後の事後対応」です。就業規則の改定はこの4本柱に対応させる形で進めると、規則と実態が乖離しにくくなります。
「方針の明確化」では、会社がカスハラを容認しないこと・従業員を守る姿勢を社内外に示す文書(カスハラ対応方針)を作ります。この方針文書と就業規則の条文は相互参照できる形に整えておくと、後から改定が発生したときに漏れを防ぎやすくなります。「体制の整備」では、誰が最初に対応し、どの段階で管理職・法務・専門家にエスカレーションするかを役割分担表にまとめます。「事後対応」では、発生記録の保管期間(一般的に3年を目安とする企業が多いですが、自社の規程に合わせてください)と、再発防止の検討フローを定めます。
就業規則の条文として参考になる構成を示します。あくまで文例であり、自社の実態や既存規程との整合は必ず確認してください。 (カスタマーハラスメントへの対応) 第○条 会社は、顧客・取引先等から従業員に対して行われる、業務上の適切な範囲を超えた要求、暴言、威圧的言動その他従業員の就業環境を害する行為(以下「カスタマーハラスメント」という)について、従業員を保護するための措置を講じる。 2 従業員がカスタマーハラスメントを受けたと判断した場合、速やかに所属長または相談窓口に報告するものとする。 3 会社は、報告を受けた場合に事実確認を行い、必要に応じて顧客との取引停止・接触拒否を含む対応を行うことができる。 ポイントは「従業員の報告義務」と「会社の保護措置権限」を両方明記することです。従業員が一人で抱え込まない仕組みと、会社が毅然と対応できる根拠の両方を条文に持たせることで、現場の行動が変わりやすくなります。
条文を定めても、報告フローが複雑では機能しません。推奨されるのは3段階のシンプルな体制です。ステップ1は「即時の記録」で、発生日時・場所・言動の内容・対応者名を記録します。メモ・音声データ・チャット履歴など形式は問いませんが、後から参照できる状態にしておくことが重要です。ステップ2は「所属長への報告」で、当日中を原則とする企業が多いです。ステップ3は「窓口への共有・対応方針の決定」で、人事・法務・外部相談窓口のいずれかを経由して対応方針を決定します。
相談窓口は内部窓口(人事担当者・ハラスメント担当者)と外部窓口(弁護士事務所・産業カウンセラー等)の2本立てにすると、従業員が報告しやすくなります。外部窓口の設置が難しい場合は、商工会議所や各都道府県の労働局の総合労働相談コーナー(無料)を案内する形でも対応できます。就業規則にはこれらの窓口名・連絡先を附則または別表として添付しておくと、従業員への周知が容易になります。
就業規則を整備した後に多くの企業が直面するのが、「運用が形骸化する」問題です。相談があったのに記録が残っていない、改定した条文が現場に周知されていない、といったことが起きやすくなります。Kabauは会社ごとの就業規則・対応方針・相談記録のフォーマットを登録しておくことができ、日々の相談内容を会社の前提に紐づけて整理するサポートをします。
たとえばカスハラの報告書が来たとき、Kabauに登録済みの報告フォーマットと条文番号を参照しながら「この内容はステップ2の所属長報告に該当します」「記録に含めるべき項目が3点不足しています」といった確認を補助します。個別案件の法的判断はKabauの役割の外ですが、記録の抜けや手順の漏れを減らす日常の整理作業を担うことで、規則と実態の乖離を防ぎやすくなります。専門家への相談が必要な案件の切り分けも、Kabauとのやり取りの中で整理しやすくなります。
サンプルの会社情報を覚えた状態での、回答のイメージです。数値や規程の内容は説明用の例です。 就業規則AIの答えは一般的な情報の整理であり、個別の法的助言ではありません。
当社の就業規則にカスハラの条文がまだありません。どこに追加すればいいですか?
ご登録の就業規則を確認すると、第10条「服務規律」と第28条「職場環境の整備」が追加候補として考えられます。厚生労働省マニュアルの4本柱に照らすと、まず「方針の明確化」として第28条に定義と会社の保護義務を加え、「体制の整備」として別表に報告フローと相談窓口を添付する形が整合しやすい構成です。最終的な文言の確定は専門家にご確認いただくことをおすすめしますが、追加すべき項目の一覧はKabauで整理できます。
顧客からの長時間電話対応について従業員から相談がありました。カスハラに当たるか判断する基準はありますか?
厚生労働省の2024年マニュアルでは、「要求の内容・態様が社会通念上相当な範囲を超えているか」が判断の軸です。長時間拘束・同一内容の繰り返し要求・威圧的な口調などが重なると該当する可能性が高まります。Kabauには今回の相談内容と発生日時を記録として残せます。個別案件がカスハラに該当するかの最終判断は専門家にご相談ください。Kabauは記録の整理と、自社の報告フローの次のステップ確認をサポートします。
2024年時点では、カスハラ対応を就業規則に定めることを直接義務付ける法律はありません。ただし、労働契約法第5条が定める使用者の安全配慮義務の一環として、顧客からのハラスメントからも従業員を保護する対応が求められています。厚生労働省もマニュアルで対応策の整備を強く推奨しており、整備が遅れると従業員の離職や訴訟リスクにつながる可能性があります。
Kabauは登録した就業規則・対応方針・報告フォーマットを会社の前提として覚え、日々の相談記録の整理や手順の確認、条文番号の参照補助といったサポートを行います。書類の最終的な作成や、個別案件の法的判断は専門家の領域です。Kabauは記録の整理と日常の運用補助を担い、専門家に相談すべき事項が見えてきたときに状況を整理した状態で相談できる準備を整えるためにご活用いただけます。
対応方針の文書化だけでも、現場の判断基準を揃える効果はあります。ただし、就業規則に明記することで、従業員への周知義務(労働基準法第106条)の対象となり、「会社として正式に定めた」という対外的な根拠にもなります。採用・訴訟・労基署調査などの場面では就業規則への記載が判断材料になることが多いため、中長期的には就業規則への組み込みをご検討ください。具体的な改定手順は専門家にご確認いただくことをおすすめします。
この記事が扱っている論点を、そのまま点検項目にしました。すでに確認できているものに チェックを入れてください。登録もダウンロードも不要です。
まだ確認していない項目: 3 件 / 全 3 件
まだ確認していない項目と、それぞれについてこの記事が書いている内容を、 この画面にそのまま1枚で表示します。印刷とPDF保存ができます。(先にチェックを入れると、確認済みの項目は1枚から外れます)
ほかの使い方も見る